検討課題
(1)課題 1
乙56号証の解説に記載された「動力線からの漏電が電灯線の発信器電源喪失よりも1分以上早い」という内容は妥当なものか。
例外として「発信器の入っているL2の配電盤よりもキューピクル側で電源喪失が起こった場合」という**電力配電部の専門家の指摘がありましたが、本件事故の場合その可能性の有無。
(2)課題 2
乙56号証の解説「動力線から漏電が電灯線の発信器喪失よりも1分先」が正しい場合,本件火災の原因の可能性の1つとして漏電,ショート,トラッキング,電線の発熱などの電気的事故は考えられるかどうか。
(3)課題 3
平成**年*月**日の法廷において「出火場所が1階の玄関の床面近くなら,1階天井裏や壁面に電灯線が入っているのに,2階耐火ボード裏のグラスウール断熱材のさらに裏側の動力線が,1階や2階の電灯線よりも先に漏電するのはおかしいのではないか?」という質問に対して,**鑑定人は「火災の状況によって起こりうる。グラスウール断熱材は火災の時は火災の時はよく燃える。」という主旨の答えをされました。1階の天井裏の電灯線や電話線が火災による漏電やショートを起こさないうちに,2階天井裏の動力線から漏電するようなことは起こりうるのか,起こりうるとすればどのような場合か。
動力線からの漏電の場合,むしろ塗装室での電気事故によって起きる可能性が高いのではないか。
(4)課題 4
当組合の動力線の過電流ブレーカーは、キュービクルでは400A,はんせいき館(乾燥棟)の配電盤では125Aと150Aの過電流ブレーカー,225Aの過電流ブレーカー兼用の200mAの漏電ブレーカーが配置されていました。塗装室内配電盤にはヒューズ入りのコンデンサがありましたが,これ以外に動力線のヒューズはありません。火災後の点検では,150Aの過電流ブレーカーが電気を遮断した状態でした。
200Vの三相動力線で50mA以上225A以内、50mA以上125A以内の漏電、ショート、電線の発熱、トラッキング現象等の電気的事故の可能性の有無。
(5)課題 5
塗装機メーカーの**塗装機や機械販売会社の**産業からは、塗料などの自然発火の可能性を指摘されましたが、**塗料の納品書にある当組合の使用している塗料の種類、使用量からみて、工場休止中の夜間にそのような事故の発生する可能性の有無。
(6)課題 6
当組合の配線位置、被害動産位置の場合に、動力線からのショート、トラッキング、発熱などの電気的事故から、シンナーや塗料がある場所への引火による火災の起こる可能性の有無。
(7)課題 7
**鑑定人が乙第14号証で出火場所とした,事務所玄関上がり口付近には,乙第2号証の消防署実況見分調書写真No.60に撮影されている通り,下が中空の足つきの木製の敷き台が燃え残っている他,階段も炭化して3段写っています。上部の鉄骨が曲がるほどの激しい火災が9時16分頃から10時36分まで1時間20分も続いたのに,出火場所に木製の可燃物が残ることはありえるか。